ようこそ全美協へ

全美協は、全国の造形美術教育関連の教員養成課程を有する公立・私立の大学・短期大学と、日本教育大学協会全国美術部門( 略称 教大協)に属さない国立大学によって組織されている全国組織です。

正式名称は「全国大学造形美術教育教員養成協議会」といいます。

お知らせ

2019造形教育フォーラム報告

造形美術教育フォーラム2019 共催企画 実施報告.pdf
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「美術教育提言書」を文部科学省へ提出

 日本教育大学協会全国美術部門、三学会(大学美術教育学会、日本美術教育学会、美術科教育学会)、公益社団法人日本美術教育連合、全国造形教育連盟、日本教育美術連盟とともに「美術教育連絡協議会」を結成し、次期教育課程の改訂において、学校における美術教育のより一層の充実が図られることを願い「要望書」を作成しました。平成27年6月30日、文部科学省に「美術教育の充実に向けての要望書」を提出したことを、会員の皆様にご報告いたします。

「美術教育提言」及び文中の別紙1、別紙2は、本ページ最終段からダウンロードできます。

平成28年10月24日

文部科学大臣 松野 博一 様 

文部科学省初等中等教育局長 藤原 誠 様

第8期中央教育審議会会長 北山 禎介 様

第8期中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会部会長 無藤 隆 様

 

 

美 術 教 育 提 言

 

 

 

美術教育連絡協議会

 

代表 小 野 康 男

 

【美術教育連絡協議会加盟団体】

 公益社団法人 日本美術教育連合

全国造形教育連盟

全国大学造形美術教育教員養成協議会

大学美術教育学会

日本教育大学協会全国美術部門

日本教育美術連盟

日本美術教育学会

美術科教育学会

(順不同)

 

 

 学校における美術教育の意義について、ご理解・ご支援をいただき、厚く御礼を申し上げます。

 

 私たちの「美術教育連絡協議会」は、美術教育に関連する学会・団体などで構成され、学校教育における美術教育の質的向上をめざす全国的な組織です。

  

 現在、学習指導要領の改訂に向けて引き続き検討がなされている状況かと拝察いたします。美術教育連絡協議会の構成団体も、美術教育の理念がより深く理解されるため、また、子どもたちの学習の質的な向上に資するため、美術教育の在り方について研究を進め、共同で研究会やシンポジウム等を開催して来ています。その中で、美術教育は、子どもたちがよりよい未来を創造するために欠かせない教育であり、その一層の充実が求められていることを確認してきました。そしてこの度、その成果を下記「美術教育提言」としてまとめました。

  

 本提言は、学力の3要素に立脚したアクティブ・ラーニング等の推進に資する有意な教員の育成のため、幼児、児童・生徒の資質・能力育成に向けて示された新しい3つの観点のもと、図画工作科・美術科で育てる資質・能力の相関を47の項目と具体例で示すマトリックス(別紙1)、同マトリックスで示した47項目の資質・能力のうち、それらが育成される幼稚園~高等学校における具体的な11件の実践例(別紙2)をともに提示するものです。

 

 次期教育課程の改訂において、学校における美術教育のより一層の充実が図られるようにご勘考いただけるよう要望いたします。

 

 

 

 

 

 

 現在、学力の3要素を基軸として、初等中等教育のみならず、大学教育、大学入学者選抜も含めた一体的な改革が進行している。次期学習指導要領改訂では、教育課程全体を教育関係者だけではなく広く社会において分かりやすく理解できるよう整理することによって、学校種等を越えた初等中等教育全体の姿を描くことを目指している。そうした中で、現行の制度内においても、学力の3要素に立脚してアクティブ・ラーニング等の実効的な推進が喫緊の課題となっている。

 

 初等中等教育における美術教育(ここでは、小学校図画工作科、中学校美術科、高等学校芸術科(美術、工芸)及び専門教科の美術の総称とする)のこれまでの取り組みと上記の課題との関係を未来志向的に捉えることで、今後の初等・中等教育に向けた提言を行っていきたい。

 

 美術教育は、従来から、学力の3要素と密接な関係をもってきた。それと同時に、この関係にあいまいな点があったことも否めない。今後、学力の3要素を契機として、美術教育の一層の体系化を図り、学校教育において、そして生涯にわたる教育において、いかなる寄与を行ってきたのか、また、行っていくのか明らかにしたい。

 

○学力の3要素:知識・技能

 

 図画工作科、美術科等において求められる知識・技能は、造形や美術を豊かに捉えたり考えたりするときの視点や基礎的な事柄に関する知識、実技に関する技能等が考えられるが、一方では、それが身体を通した感性的な体験として経験され、個人一人一人が環境(他者、社会、自然)と関わる中で再構築され、表現や鑑賞として他者との関係の中で対象化される必要がある。ここに、すでに3要素の関係が包含されている。

 

○学力の3要素:思考力・判断力・表現力

 

 上記の知識・技能の習得や深化の過程で、図画工作科、美術科等においては、思考力・判断力・表現力が不可分のものとなっている。環境と関わる身体を通過することで知識・技能が学的・領域内的に深化する場合もあるが、自由な連想のもとで、領域連結的に移行・往還する場合もある。ここでは、知識・技能に関する二つの態度が問われる。過去・現在・未来において同一である真理を志向する態度と、新たな条件の付加によって真理の在り方が変わりうるとする態度である。

 

 美術では、従来この第2の要素を感性的な経験として扱い、経験の矮小化を危惧して言語化を忌避する傾向があった。しかし、現在求められている言語化は、新たな条件を感性的経験にふさわしい領域横断的な言葉によって言語化する能力である。そこには、視覚言語によるコミュニケーションの果たす役割が大きい。

 

○学力の3要素:主体性を持って、多様な人々と協働して学ぶ態度

 

 美術教育において、とりわけ初等教育段階での図画工作科は、グループによる学習を推進し、この点での基本的な経験を多く有している。しかし、それゆえに、主体性と協働の関係が単純なものではないことも熟知し、表面的な名前だけのアクティブ・ラーニングや協働ではない、実効的なものを目指している。他者との協働が新たなものを生み出し、それを、協働者相互で評価することができる言語を生み出すことが必要となる。もっとも、それは、子どもたちの日常的な言葉から、教科横断的、学問横断的な言葉へと、そして新たな対象の出現を評価しうるイノベーション的な言葉まで及ぶ、幅を有するのである。

 

 美術教育が初等中等教育においてもっぱら携わるのは、知識・技能と思考力・判断力・表現力の関係であるが、美術教育において対象を産出することは、主体性を持って、多様な人々と協働して学ぶ態度に支えられている。逆に言えば、人間社会を持続可能なものにするこの要素を通して、人間の自己形成的・自己可塑的能力を支えることで、他の教科に対してもその基層となり、これを支えていく関係を有するのではないだろうか。狭義の正解に制約されず、協働的な正解を探求していくというイノベーション的な能力、及び、それに必要なモチベーションの創出によって、美術教育は、自己の価値や考えを、意欲を持って追求する場として、他の教科にとっても有効な概念の創出のための好適な場となる。

 

 しかし、注意しなければならないことは、こうした能力が持続されるためには、基本的な教育課程の目的意識を持った持続、及び、領域横断・連結的な教育能力を持った教員の養成が必要であるということである。

  

 

□連絡先 「美術教育連絡協議会」  

 

      代表 小野康男(横浜国立大学)

 

      〒240-8501 神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台79-2 

 

      国立大学法人 横浜国立大学 

 

      電話番号:045-339-3458                              

 

 

美術教育連絡協議会 参加8団体一覧 (五十音順)

 

  ■公益社団法人日本美術教育連合

理事長:大坪圭輔:武蔵野美術大学教授 

団体概要:1953年社団法人として国際美術教育学会開催を機に設立。以後研究活動を続け、2011年3月公益社団法人として認定される。会員数約220名。

 

■全国造形教育連盟 

委員長:大野正人:東京都杉並区立井草中学校校長

団体概要:造形教育の振興を目的とし、1948年から大会を実施。都道府県毎に会が編成され、公立私立幼稚園から、小、中、高、大学及び美術館から成る組織体。

  

■全国大学造形美術教育教員養成協議会

会長:磯部錦司:椙山女学園大学教授

団体概要:全国の私学を中心とした美術教育に関わる教員・保育士養成課程をもつ大学・短期大学361機関によって養成の充実と美術教育の振興を目的に組織。

 

■大学美術教育学会

理事長:小野康男:横浜国立大学教授

団体概要:教大協第二部美術部門を母体に1963年に創立。美術科の教育や教科専門、その他多くの研究者や教育実践者の発表がなされている。会員数約650名。

 

■日本教育大学協会全国美術部門

代表:小野康男:横浜国立大学教授

団体概要:1952年発足の日本教育大学協会第二部美術教育部会が設立母体。教員養成系の国立大学法人の大学・学部の教員が機関加盟している。会員数330名。

 

■日本教育美術連盟

理事長:松山 明:大阪芸術大学講師

団体概要:全日本図画教育全国大会(1940年)を端緒とし、1949年に発足。以降毎年全国各地で授業研究を柱に研究大会を開催し、幼小中高の美術教育の振興に寄与。

 

■日本美術教育学会

会長:神林恒道:大阪大学名誉教授 

団体概要:美術教育の理念を究明し、より良い教育実践の方策を探求することを目的として1951年に創設され今日に至る。会員約400名。

 

■美術科教育学会

代表理事:水島尚喜:聖心女子大学教授 

団体概要:図工・美術科教育を核に、乳幼児教育や生涯学習、インクルーシブ教育などを含む美術教育研究を推進。1979年設立。会員約570名。

美術教育提言書全文
美術教育は、子どもたちがよりよい未来を創造するために欠かせない教育であり、その一層の充実が求められていることを確認してきました。そしてこの度、その成果を下記「美術教育提言」としてまとめました。
美術教育提言書.pdf
PDFファイル 149.1 KB
図画工作科・美術科で育てる資質・能力の相関を47の項目と具体例で示すマトリックス(別紙1)
別紙1.pdf
PDFファイル 763.9 KB
マトリックスで示した47項目の資質・能力のうち、それらが育成される幼稚園~高等学校における具体的な11件の実践例(別紙2)
別紙2.pdf
PDFファイル 486.9 KB